2025年12月
「各教科等の専門部会等」の現在地
渡辺 敦司
次期学習指導要領を巡る中央教育審議会の教育課程部会「各教科等の専門部会等」が始まって2カ月半がたつ。道徳ワーキンググループ(WG)がやっと11月25日に初会合を開催した一方、理科WGが早くも12月2日の第3回会合で主査一任を取り付けるなど18ある専門部会等の進度には開きがあるが、当面の司令塔・調整役である総則・評価特別部会(総則部会)への報告に向けて今後、他のWGでも急ピッチで審議が進むものとみられる。ここで審議の現在地を確認しておきたい。
1月の総則部会に報告へ
当面のスケジュールは、総則部会の第2回会合(10月14日)で示された。それによると(1)各教科等の目標と「高次の資質・能力」のたたき台の暫定的な整理=1月中を目途 (2)総則部会および教育課程企画特別部会(企特部会)における調整①=2月中を目途(3)個別の資質・能力の検討と「高次の資質・能力」の精査=3月中を目途(4)総則部会および企特部会における調整②=時期は進捗に応じ検討(5)各教科等WG、総則部会における最終調整=同――となっている。
最終的には全ての専門部会等の上に立つ企特部会の決定を経る必要があるが、当面は総則部会と他のWGとの「往還」「キャッチボール」で審議が進んでいる。実際、総則部会第2回会合の「目標・内容の構造化・表形式化等」方針に沿って各WGで順次、目標や学びに向かう力・人間性等、見方・考え方の書きぶりを検討している。
ただし各教科等の特性もあって、どこから検討するかには違いがある。そのため審議の度合いには温度差が生まれているのも確かだ。とりわけ高次の資質・能力(諮問や論点整理の「中核的な概念」を言い換え)は、理科WGを除いて手つかずだ(12月5日現在)。とはいえ「1月目途」の整理に向けて、各WGで議論を急ぐ必要がある。
注意しなければならないのは、あくまで「たたき台」の「暫定的」な整理ということだ。そもそも各WGでは内容に関して次期を視野に入れた検討をしておらず、現行指導要領の内容を当てはめる格好でイメージを固めている段階だ。
しかも、各WGから報告された整理を総則部会等で並べた上で「論点整理の趣旨の実現の観点から」(第2回総則部会資料)検討し、各WGに必要な調整を「伝達」。それを受けて各WGで「精査」を行い、必要な調整を検討することになる。
なお「精査」段階で、高次の資質・能力をつかみやすい教科書の在り方も「内容の精選」を含めて検討するという。
審議は全オンライン公開だが
前回改訂時は企特部会が、総則部会を含むすべての「専門部会等」の司令塔役を果たした。実際には事務局である教育課程課内で事務官と教科調査官による水面下の調整に、多くが委ねられた。そのためWG等では、企特部会の論点整理に従いながらも従来通り教科等内の「論理」で議論が淡々と進んだ印象がある。
それが小学校で言えば、内容全体を資質・能力ごとに整理した国語や、内容を一定のまとまりごとに資質・能力で整理した理科など、各教科等で幅が生じた原因になった側面も否めない。そうした反省も踏まえ今次改訂では、往還による調整で全体の統一感を図っていく方略を採ったものとみられる。
審議の公開も、前回改訂時は対面方式に限られていたのに対して、今回はコロナ禍とGIGA時代を踏まえて逆に全てが対面なしのオンライン公開になったのが特徴だ。それにより、全国どこからでも視聴可能になった利点もある。文科省事務局は扱いを明らかにしていないが、傍聴登録者は1週間前後アーカイブで視聴できるようだ。
文科省は、各教育委員会にも傍聴を勧めている。それによって、国→都道府県→市区町村→学校と下っていくうちに解釈が変わってくる「伝言ゲーム」「つまみ食い」を避けたい狙いもある。
ただし、総則部会でさえ傍聴登録人数は最高582人(11月12日の第3回会合)。全部のWGについて確認してはいないが、必要があって外国語WGについて聞いたところ第1・2回とも300人台だった。しかも指導主事などを含んだ数字だというから、圧倒的多数の一般教職員は視聴したくともできない、あるいは次期改訂に関心すら持てないまま日々の教育活動をこなすのに精いっぱいなのが現状ではないか。
諮問の準備作業を担った「今後の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方に関する有識者検討会」(22年12月~24年9月)の動向からチェックしている者なら今次改訂の狙いはよく分かるだろうが、そうでない場合はWGの委員ですら12月に入って「事務局説明を聞いて、やっと(新しい)『見方・考え方』が分かった」という発言が出てくるほどだ。「分かりやすく使いやすい指導要領」(論点整理)の道のりは遠い。
(教育ジャーナリスト)