Vol2:肯定的評価の勧め(2020.10.22)

肯定的評価(たし算の評価)の勧め

 子供に限らず人は、「褒められる」と良い気持ちになり前向きになり、「注意(否定)される」とガックリきて落ち込むものです。
 このことを考慮してか、指導要録の「総合所見及び指導上参考となる諸事項」欄の評価記入で、次のことを強調しています。(番号は引用者加筆)

①児童(生徒)の優れている点や長所、進歩の状況などを取り上げることに留意する。
②ただし、児童(生徒)の努力を要する点などについても、その後の指導において特に配慮を要するものがあれば端的に記入する。

 これは、「ひき算の評価(100点を与えておき、間違いや不十分なことを減点していく評価、減法的評価)」に偏りがちの子供の評価観を、「たし算の評価(正しいことや良い点を認め加算していく評価、加法的評価)」を重視していくことを示したものであり、素晴らしいことです。
 ①のような「たし算の評価」は、「肯定的評価」とも言い、子供に、自信を持たせ意欲的にしていき、自己肯定感や自己有用感の育成にも効果が認められています。
 幼稚園・保育園、小中高等学校での「肯定的評価」の広がりを期待するとともに、保護者の養育にも取り入れてほしいものです。
 しかし、褒めるだけでは、子供は一定の所で停滞してしまいます。そこで、➁のことにも配慮する必要があります。すなわち、優れている点や長所、進歩したこと、努力したこと、工夫したことを認め、褒めるだけでなく、これから頑張ってほしいこと、改めてほしいこと、新しくやってほしいことなどの「注文」も簡潔に伝え、そのことが実行できるように「支援」していくことが必要です。
 ところで、この「肯定的評価」の発想は、かなり前からあるようです。「小学校学習指導要領解説算数編」(H11年5月31日)の「第4章 指導計画の作成と各学年にわたる内容の取扱い 1の(2)のオ」にそれを見ることができます。(要約引用)

 算数科の授業に当たっても教師は児童と共に学び考え、児童の問題解決を助けていくという姿勢が大切である。従来どおりの知識の量や技術の習熟度だけを測るような評価が重視されていては、授業の改善は進みにくい。
 そこで、学習の結果だけでなくその過程における良い点、工夫したところや努力したこと、さらに進歩の状況や可能性を受容的、肯定的に評価するなど評価の在り方に配慮する必要がある。
 また、児童の発想や仕方を肯定的に支持し、なるべくその方向で実現するように援助して、誤りや不十分な方法を活かす励ましのための評価を充実させ、児童自らの力でつまずきを乗り越えよりよいものを求めて意欲的に取り組むことができるようにすることが大切である。「これが分かっていない」「これができない」といった否定的な評価から、「ここまでは分かっている」「これができるようになった」といった肯定的な評価に転換する必要がある。

 また、自己評価を取り入れて自分の良さに気づくとともに、つまずきを克服したり、相互評価を取り入れて互いに学び合ったりすることについて配慮する必要がある。
 「言うは易く行うは難し」と言われますが、この「肯定的評価」を授業や生活指導で実践し、子供に自信を付けさせるとともに、自分を見つめよりよくしようと考え、実行していくように「明るく、元気に、前向き」にしてあげてほしいものです。

(H&M)

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