Vol.42:本を読むことの大切さ

 教え子で、現在、社会人として活躍しているGさんは、「小学校高学年で、読書のおもしろさを知り、中学校になってたくさん本を読み、知識というより、生き方や考え方に多く触れることができ、今も、人生や仕事に生きています」と、回顧しています。

 作家の芦沢央さんは、「作家になる原体験は、中学時代に出会った小野不由美の小説『十二国記』シリーズだ。女子高生と王たちがさまざまな困難に立ち向かうストーリーに、暫く本の世界から戻れないほどの衝撃を受けた。単純な善悪でなく、自分が信じてきた価値観や考え方が相手にとってどうなのかを、深く考えるようになり、もっと知りたい、考え続けたいとの思いが芽生えてきた。作家への一歩を踏み出したのもこのころです」と回想しています。

 朝読書とは別に、6年生が下級生に読み聞かせなどの活動を展開している埼玉県彦糸小学校の宮崎正子校長先生は、「読書を通して児童の想像力や語彙力を養い、自ら表現できる力を育みたい」と語っています。

 読書は、下記のように、自分以外の多くの考え方や感じ方に触れることにより、語彙が増し、言いたいことをわかりやすく伝えたり、文章力(表現力)をつけたりできます。
 学年の発達段階に応じて、読書の大切さを実感させることが大切です。

〇語彙力、文章力、国語力が養われる。
〇教養や知識が身につく。
〇仕事(学習)に役立つ知識・技能、知恵が得られる。
〇偉人の言葉や考え方、人生観に触れることができる。
〇想像力が豊かになる。
〇話題が豊かになる。
〇コミュニケーション力が高まる。
〇ストレス解消になる。
〇楽しい時間を過ごすことができる。
〇実際に体験したり見聞したりできないことが、間接体験できる。
〇暇な時間や移動時間を有効に過ごせる。

(教育調査研究所研究部長 小島 宏)

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