Vol.38:『古事記』を読む(その1)

 『古事記』については、小・中・高校で繰り返し指導されたので、以下のように理解はしていました。

 『古事記』とは、「奈良時代の日本最古の歴史書(神話)で、天武天皇が文字の読めない稗田阿礼に読み聞かせて覚えさせ、それを太安万侶が書き記したものである。3巻で構成されており、上巻は天地の創成から神々の国造りの様子、中巻は神武天皇から応神天皇までの様子、下巻は仁徳天皇から推古天皇までの様子をまとめたものである」。

 これで、受験には差し支えありませんでした。したがって今に至るまで、『古事記』そのものを読んだことはありませんでした。

 ところが、最近、書店で、石ノ森章太郎の漫画『古事記』(ただし「上つ巻」のみの内容)(中公文庫)が目にとまり、衝動買いをして読んでみました。漫画といいながら、解説調のやや理屈っぽいものでしたが、けっこう楽しむことができました。

 少し興味が出て、それならと、斎藤英喜の『とんでもなく面白い『古事記』』(PHP文庫)を読んでみました。

 内容構成は、
〇第一章「日本誕生と神々の物語(1~4節)」
〇第二章「英雄たちの伝説(5~8節)」
〇第三章「愛と皇位をめぐる人間ドラマ(9~11節)」
〇第四章「知っとこ! 『古事記』」
 となっていて、なるほど『古事記』とはこういう内容だったのかと、さらにわかったような気になりました。

 しかし、まだ、しっくりきませんでした。そこで、ミニマル+BLOKBUSTER著『イラストでよくわかる 古事記の本』(彩図社)を読むことにしました。いわゆる昔がえりです。

 本書の内容構成は、
〇第1章「『古事記』とは何か?(『古事記』成立の由来、『古事記』のあらすじなど)」
〇第2章「『古事記』の名場面を読み解く―高天原編(天地創成、黄泉の国訪問など)」
〇第3章「『古事記』の名場面を読み解く―地上編(ヤマタノオロチ退治、ヤマトタケルの遠征など)」
〇第4章「『古事記』の神々を読み解く(天之御中主神、天照大御神など)」
〇第5章「『古事記』のゆかりの地をめぐる(出雲大社、伊勢神宮など)」
 と、イラストというより漫画チックに解説してありました。

 1冊目と2冊目をミックスしたような表現で、「もう少し深くわかった」と思うようになりました。
 そうなると、今度は、『古事記』そのものを読んでみたくなりました。原文は無理なので、現代語に訳したものを探しました。竹田恒泰著『現代語古事記』(学研プラス)を見つけ読んでみました。
 すでに3冊を読んで、概要は頭に入っていたので、「なるほど! こういうことだったのか」と、一気に理解が進んだような気になりました。
 
 内容は、次のような構成になっていました。
〇古事記・上つ巻(はじめに現れた神、出雲の国譲りなど)
〇古事記・中つ巻(初代・神武天皇から第十五代・応神天皇まで)
〇古事記・下つ巻(第十六代・神徳天皇から第三十三代・推古天皇まで)

 恥ずかしい話ですが、難しいところはこだわらず(とばして)、「すらすら読むように」心がけ、3割程度は理解したように思います。

 少しわかってくると不思議なもので、もっと本格的に読んでみたくなりました。
 そこで、駅中の大きな書店に出かけ、探してみたら、津田左右吉著『古事記及び日本書紀の研究―建国の事情と万世一系の思想』(毎日ワンズ)を見つけました。 

 内容構成は次のようになっています。
〇津田左右吉博士のこと
〇建国の事情と万世一系の思想(上代における国家統一の情勢、万世一系の皇室という観念の生じまた発達した歴史的事情)
〇「古事記及び日本書紀の研究」(総論、第一章「新羅に関する物語」、第二章「クマソ征討の物語」、第三章「東国及びエミシに関する物語」、第四章「皇子分封の物語」、第五章「崇神天皇、垂仁天皇二朝の物語」、第六章「神武天皇東遷の物語、結論」

 けっこう難しいので、脳を励ましながら少しずつ読み進めています。本書を一通り読み終えたら、別の人による『古事記』に関する研究書も読んでみるつもりです。

 そして、最終的には、現代文訳と漢和辞典を手に、『古事記』の原文に挑戦したいと微かに思っています。

 

(教育調査研究所 小島 宏)

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