Vol.26:教育実習に思う


 大学で教職を、そして、その一環として教育実習を担当しており、毎年180名前後の学生を全国の小学校、中学校、高等学校に送り出している。

 この2年間はコロナ禍で、例年にない対応を迫られた。
 そもそも特に昨年度は、教育実習が実施できるのかどうか危ぶまれた。そのような中、文部科学省から、教育実習の授業時間数や実施期間の弾力化、教育実習の科目の総授業時間数の全部または一部を大学等が行う授業で代替可能などの通知があった。

 このような中、昨年度については、例年は前期(4~7月)に8割ほどの学生が教育実習を終える中、7月までに教育実習を終えることができたのは10名に過ぎず、前期の段階では実習時期が未定という者が多く、文部科学省から上記の通知があり、教育実習ができない者も出てくるのではないかと危惧していた。

 結果的に、受け入れ校にご尽力いただき、後期(8~12月)にほとんどの学生が予定通り教育実習を行うことができた。ただ、40名ほどは実習期間が3週間から2週間になった。
また、受け入れていただけなかった数名の学生については、知り合いの校長先生に依頼して受け入れてもらい、教育実習希望者は全員、無事に教育実習を終えることができた。

 今年度についても、やはり数名の学生については、受け入れ校から急きょ受け入れができないという連絡を受け、昨年度同様、知り合いの校長先生に依頼し、全員、教育実習を終えることができた。

 日々さまざまな対応に追われているところに、新型コロナウイルス対応で多用な中、快く教育実習を受け入れてくださった学校に、感謝の気持ちでいっぱいである。

 校長時代は受け入れ側として、そして今は送り出す側として教育実習に関わっている。
 毎年、受け入れていただいている学校からはさまざまな苦情をいただく。例えば、「教育実習録へ学校の記入事項が多すぎる」「実習録に学校批判めいたことを書いている」「教師には不適である」「指導に従わない」「提出物が期限内に提出できない」などなど。

 そして、学生からは実習中にも連絡が入る。例えば、「指導教諭の指導に我慢ができない」「免許は要らないから実習をやめたい」「朝のホームルームで話をするように言われたがネタが思いつかない」などなど。

 実習校からの連絡については、丁寧に対応しているつもりである。また、学生には事前に、どんなに充実していたとしても、またどんなに辛かったとしても3週間のこと。だから、とにかくがんばれ!」と話をしている。

 実習を終えて、学生が研究室にやってくる。「教師になろうと思ったけど教育実習を経験して自分には向かないと思った」という学生もいる反面、「教員採用選考を受験しなかったが、どうしても教員になりたくなった。臨時的任用教員でも時間講師でも構わないのでなんとかならないか」と熱く語る学生もいる。
 いろいろな学生がいる。そして、毎年いろいろな対応を迫られる。ただ、全ての学生たちが教育実習を経て確実にたくましく成長し、学校教育について深く考えるようになっているのは間違いない。

 教師は、必ず「教育実習」を経験する。このことを踏まえて、大学でも今後とも精力的に指導を続けていくが、学校でも引き続き、温かく、そして厳しくご指導くださるようにお願いしたい。

                                 (S・E)  

                                        
                                            

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