Vol.34:小学校高学年の教科担任制考4 ―学校規模に応じた教科担任制の進め方―


  令和4年度に入り、新年度がこれまで以上に華やかに感じるようになりました。
  待ちに待った映画『ファンタステック・ビーストとダンブルドアの秘密』を鑑賞しました。動物学者でありシャイな主人公ニュートが織りなす物語です。常に、魔法使いとは、人を好きになるとは、不思議なトランクの果たす役割とはと、考えさせます。次へのつながりを考えたストーリー展開が観客を釘づけにし、148 分間の楽しい魔法にかかっているような錯覚に陥ります。
  子どもたちに対してもそうした教師の指導力があれば、学校がもっと楽しい学びの場になるでしょう。

小規模校の教科担任制の推進に向けた取組
  各学年単級の小規模校で教科担任制を実施していく際には、異学年での教科指導が前提となります。その際は、学校としてのビジョンが、児童の学ぶ態度や学び方の習得になっているか、他学年との交換授業などを考えて、教科担任制の主旨が生きる道筋を作り出す必要があります。

  和歌山県田辺市新庄第二小学校では、高学年で国語と算数で教科担任制を実施して、学期で指導者が入れ替わる方法を取り入れています。巡回での指導が可能な教科と自校の教師の持ち味を出して、理科や英語で取り入れています。若手教員が多く、指導が1回しかできないことへの不安を抱えながらも、児童の学力向上と教師の資質向上を目指して実践しています。

中規模校の教科担任制の推進に向けた取組
  中規模校(学年2学級)では、①学年完結型での教科担任制と、②高学年で担当教科を決めて4教科の指導をしていく場合があります。
  ①は、理科、社会を軸に第4学年から実施して、他学年は道徳などでの交換授業を実施します。②は、5年、6年で理科、社会、体育、外国語の4教科を分担し異学年も踏まえて実施して、他学年は交換授業などで学年での意識を高めることを目指しています。

 実施例としては、①は東京都荒川区立第二峡田小学校、②は東京都江戸川区立西小松川小学校があります。いずれも令和4年度からの教科担任制です。段階的にレベルアップを目指します。

大規模校の教科担任制の推進に向けた取組
  大規模校(学年3学級以上)では、第3学年以上において、学年完結型で取り組んでいる例もあります。教科担任制が機能する学校づくりを目指して、誰もがどの学年を担当しても実施できるシステムを構築します。

  東京都江戸川区立第四葛西小学校は、江戸川区の教育課題推進校で、教職員の意識の高さが際立つ実践校です。若手教員も精力的に取り組み、授業力をつけています。大規模校のモデル校として2年目の実践の成果が期待されます。 今年度は、年間を通して教科担任制の指導をしていく中で、全国的に機運を高めて、学校規模に応じた教科担任制にさらに一歩踏み出せるように、教職員と一体的な取組をしています。いつでも学びの場を提供できるようにしています。

【文責:明海大学客員教授 釼持 勉】

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