Vol. 71:読書三昧「印象に残った本」

  在住の市には書店がなくなってしまったので、最近は、図書館で読書三昧に日々を送っています。暑くも寒くもなく、読書に集中できて満足しています。
最近読んだものの中で、子どもと保護者に、大人に、先生方に役立つ本を紹介します。

◆小島洋祐監修「それ犯罪かもしれない図鑑」金の星社

  「うっかりしたことが、法に触れていて、犯罪だった」とか、「ふだん、当たり前のようにしていたことが、実は、法的にやってはいけないことだった」ということがあるかもしれません。

   本書では、公園での遊び、道で拾ったお金、歩きながらのスマホ、ネットで書いた悪口など、子どもたちが日常生活でやりがちな行動の中に、「社会のルール違反」や「法律に抵触する」ことが紹介されています。
   言われないと気づかない「社会ルール違反」や「違法行為」「子どもの身近な状況」について、①犯罪やルール違反になるかもしれない行為を示した見出し、②その場面を表したイラスト、③どんな法律に違反するか簡潔に解説、④具体的に何が犯罪になるか・気をつけることかが、わかりやすく解説されています。子ども向けの本ですが、子どもを指導する先生方や大人にとっても役立つ1冊です。

  本書の内容・構成を紹介します。
・「まち編」…お金発見!もらっちゃお~!/公園でたき火しちゃお など25の事例。
・「友だち編」…借りたマンガはオレのもの!/この写真、SNSにあげちゃお など8つの事例。
・「学校編」…落書きして思い出を残そう/あっ! テストの解答がまる見え など4つの事例。
・「交通編」…ながらスマホで移動時間をうまく使おう/自転車のライトがつかない…ま、いいか!
 など5つの事例。

・「家編」…ネットに悪口書いちゃお/家だったら何しても自由だよね など8つの事例。

◆茂木秀昭監修・バウンド著「こども文章教室 作文・感想文・レポートが上手に書けるようになる本」株式会社カンゼン

  「何を」「どう書いたらいいか」わからない、そんな悩みを解決して、「書くことが好きになる」「文章がうまくなる」ということが期待できる本です。
   各教科の基本になるのは「国語力」ですが、「読む」「書く」「話す」の中でも、「書く」がいちばん難しく、「文章がうまく書けるようになりたい」と思っている子どもが多くいます。

   本書では、作文や読書感想文、レポートなどに苦手意識をもっている子どもたちに、「どのように書いたら、自分の思いが表現できるか」「相手に伝わる文章を書くにはどうしたらよいか」など、例を挙げて具体的に教えてくれる良書です。大人や先生方が読んでも参考になります。

   内容は以下のとおり。よい例と悪い例の比較、どうすればよいかがイラストつきで解説してあり、とてもわかりやすい構成になっています。

・第1章「どっちの文章がいいか考えてみよう!」5つの事例
・第2章「あせらなくてOK! 書く前に少し考えよう!」5つの事例
・第3章「文章を上手に見せるテクニックを学ぼう!」11の事例
・第4章「もっと伝わる表現にチャレンジ!」9つの事例
・第5章「型を知ると、文章がもっと自由になる!」10の事例
・第6章「文章を書いたら、必ず見直そう!」5つの事例
・第7章「読めば書ける!? まねは上達の第一歩」7つの事例

◆北村良子監修「考え方の基本がゼロからわかる! ロジカルシンキング見るだけノート」宝島社

  「自分で考えるクセを身につけたい」「自分の考え方に自信がもてない」―そんなビジネスパーソン向けの講座です。ロジカル思考の基本から、ロジックツリー、MECE(ミーシー、もれなくだぶりなく)、仮説思考などフレームワークまで学べます。

   ロジカルシンキング(Logical Thinking)とは、「論理的思考」すなわち、筋道を立てて矛盾がないように論理的に考え、纈論を導き出す思考法のことです。ビジネスパーソンが、「身につけたい」「伸ばしたい」と思っている力です。会議の際にプレゼンしたり、顧客にヒヤリングしたりするのに欠かせない必須のスキルだからです。

   本書は次のようになっていて、イラスト部分を「見てわかり」、本文を「読んで納得」の構成になっていて、ビジネスパーソンだけでなく、学校の先生方にも役立ちます。

・Chapter 1「ビジネスパーソンに超必須のスキル ロジカルシンキングとは?」
 …目標達成に向けた課題を正確に捉える/ロジカルシンキングの基礎の基礎
 など4項目

・Chapter 2「論理的に考える基本『ピラミッド構造』」
 …論理力を高めるピラミッド構造とは?/物事を分析する時、最初の切り口ゴールデンカットが重要
 など10項目

・Chapter 3「モレなくダブりなく考える『MECE』」
 …物事を分解して考えるのに役立つMECEとは?/時間軸と空間軸の2つで全体像を理解する
 など10項目

・Chapter 4「問題解決のためのロジカルシンキング」
 …問題解決のひけつはWhatからHowへむかうこと/正しい答えにたどり着く鍵は仮説を持つこと
 など15項目

・Chapter 5「思考の質を高めるためのロジカルシンキング」
 …ミクロとマクロの眼を持つ/グラフをうまく活用する など8項目
・Chapter 6「コミュニケーションをロジカルにして説得力を高める」
 …結論から先に述べる/ポイントを3つに絞る
 など28項目

・Chapter 7「思考実験で自然と身につく『ロジカルシンキング』の訓練」
 …トロッコ問題/アキレスと亀/ジャガイモのパラドックス
 など14項目


◆田中孝幸著「13歳からの地政学―カイゾクの地球儀航海―」東洋経済新報社

   地政学とは、「地理」と「歴史」と「国と国の力関係」を組み合わせて、国際政治を考察する学問です。
   本書は中学生(13歳)以上なら誰でも理解できるように、主人公「カイゾク」と大樹と杏が、一緒に地球儀を巡る冒険物語で、会話形式をとり、地政学の基礎・基本をおもしろく・やさしく解説したものです。
   地球儀があればそれを見ながら、なければ地図を片手に読み進めると、子どもも大人も知っておきたい現在の世界の現状が見えてくると思います。

   地政学がわかると、「歴史問題の本質」、「ニュースの表と裏」、「国同士の外交的駆け引き」などがわかるようになり、「世界の昔と今と未来」がわかりやすくなります。

   内容は、以下のような1週間の構成になっています。

・プロローグ「カイゾクとの遭遇」
・1日目「物も情報も海を通る」
・2日目「日本のそばにひそむ海底核ミサイル」
・3日目「大きい国の苦しい事情」
・4日目「国はどう生き延び、消えていくのか」
・5日目「絶対に豊かにならない国々」
・6日目「地形で決まる運不運」
・7日目「宇宙からみた地球儀」
・エピローグ「カイゾクとの地球儀航海」



(教育調査研究所研究部長 小島 宏)

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