Vol.66:子どもと大人の「マンガで読む本」

  最近、子ども向けだけではなく、若者や大人向けの本もマンガで表現したものが目につきます。そこで、私が読んだマンガ風の本を4冊紹介します。

  アメリカの脳神経学者でUCJAディスクレシア研究所長のメアリアン・ウルフ先生は、著書の『デジタルで読む脳×紙の本で読む脳』で、デジタルで読むと直観的思考力が育ち、紙の本で読むと論理的思考力が育つと書いています。

◆<その1> 深谷圭助監修『漢字使い分け大百科』成美堂出版
  最近、本書を見つけて、漢字の読み方や使い方、意味について、楽しみながら学習し直しているので紹介します。

  漢字には「同訓異字(同じ読み方をするが漢字が異なる)」と「同音異義語(発音は同じだが意味が異なる)」があり、意味や状況に応じて使い分ける必要があります。
  また、「類義語」(似た意味をもつもの)や「対義語」(反対の意味をもつもの)もあり、漢字は奥が深いです。
  これらを合わせて735の漢字の使い分けについて、マンガでわかりやすく、具体的な例を挙げて説明してあります。

  取り上げている漢字の例をいくつか紹介します。どうですか。使い分けがわかりますか。もちろん、辞書で調べてもよいのですが、本書のマンガと、脚注の「意味」と「使い分けのポイント」および「例文」を見ると、「なるほど!」と納得できます。

★同訓異字:<つとめる>努める、勤める、務める 
                 <さす>指す、刺す、射す、挿す、差す
★同音異義語:<しじ>支持、指示、師事 
                    <かんしん>関心、感心、歓心
★類義語:発展と進歩  利用と活用  今後と以降  天気と天候と気象
★対義語:異常と正常  故意と過失  安心と心配  安心と不安  募集と応募

◆<その2> 卯月啓子監修『イラストでわかる漢字使い分けじてん』成美堂出版
  <その1>と同様の異字同訓、同音異義語の辞典ですが、小学生以上向けで、大人でも悩む漢字の使い分けが、楽しいマンガつきで説明され、使い方の例が示されています。

◆<その3> 廣末登&芳賀恒人監修『本当に危ない闇バイトの話』金の星社
  「あの時手を出さなかったら、人生を台無しにしてしまうようなことにはならなかったのに」と後悔しないためにも、実際にあった事件をもとに、マンガとわかりやすい解説で、「手を出さないほうがいいよ!」と、教えてくれる1冊です。道(人生)を踏み外さないように本書を読んでください。

  内容は次のように、9話で構成されています。手口を知り、絶対に巻き込まれないようにしてください。

1.特殊詐欺に関わる闇バイト
(1話:オンラインゲームで誘われて受け子に、2話:受け子から強盗にエスカレート)
2.違法売買に関わる闇バイト
(3話:違法薬物に手をだし、気づけば売人に、4話:銀行口座を売っただけなのに、5話:スマホを代理で購入したら)
3.自ら相手を陥れる闇バイト
(6話:パパ活から脅迫グループの一員に、7話:違法マルチ商法で友人関係がこわれる)
4.知らなかったではすまされない闇バイト
(8話:年齢を偽って夜の世界に入り、9話:違法に入手した物品を代理販売)


◆<その4> ロビン・マッケカーン作、上田勢子訳『学校のトラブル解決シリーズ6 ネットいじめ』大月書店
  本書では、ネットを安心して利用するために、そのリスク(危険性)について知ることが必要だと、次のような内容で構成され、それらから学び取ることができます。児童・生徒だけでなく、保護者も学校の先生も、ぜひご一読ください。

  「ネットいじめってなに?」、「ネットいじめの4つの例」、「ネットいじめクイズ」、「ネットいじめ相談室」、「ネットいじめのウソとホント」、「Aタイプ(ネットでいじめられる人)」、「Bタイプ(ネットいじめをする人)」、「Cタイプ(ネットいじめに気づいた人)」
 
  本書を読んで、「いじめをしない人」になって、「いじめられる人がいない」毎日にしたいですね。
本書は「学校のトラブル解決シリーズ6」で、ほかに、「けんか」「うわさ・かげぐち」「いじめ」「からかい」「言いあらそい」「別冊:活用のためのガイド」があります。書店や図書館で見つけて、ぜひお読みください。

「うわさ・かげぐち」や「からかい」や「なかまはずし」や「なぐる・ける」などはいじめです。絶対にしないようにしましょう。



(教育調査研究所研究部長 小島 宏)

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