Vol.06:吉永小百合の思い出あれこれ(2020.12.23)

吉永小百合の思い出あれこれ

 友人のYSが東京都立駒場高校の3年生の時、「俺の学校には、吉永小百合がいるんだぞ!」(確か昭和〇〇年頃、誕生年が伏せられているので明確には示しません)と、まるで自分のことのように自慢していたことを懐かしく思い出す。
 そんなこともあって、吉永小百合の出演した「キューポラのある街」「愛と死の記録」「大河ドラマ:風と雲と虹と」「夢千代日記」「母べえ」などを鑑賞した。ずいぶん前のことである。

 大学時代、中学校の数学科の教員免許を取るために、ある公立中学校に教育実習に行った。その時、BT先生のお世話になった。驚くことに、吉永小百合はその中学校の卒業生で、ここでも、BT先生が誇らしげにそのことを語っていたことを覚えている。
 その後、20年近くたって、ある職場で、吉永小百合のお姉さまと勤務したことがある。同じフロアーにはいたが、職務内容が全く異なるし、私は単なる主事で、お姉さまは管理職だったこともあり、廊下ですれ違った際に私が会釈をする程度で、言葉を交わしたことは、全くなかった。でも、上司から、仕事の正確さ、工夫・改善と創造的取組、コミュニケーションの巧みさが素晴らしいと、耳に胼胝ができるくらい聞かされ、そうなりたいとがんばったもの(つもり)である。

 最近、その友人YSから久しぶりに、ガラ携に電話があり「おい、吉永小百合が本を出したのを知っているか!」(『私の生き方』講談社、2020)と、幾分声が上ずっている。あれ以来ずっと、サユリスト(吉永小百合の熱心なファン、信奉者)を続けているらしい。
 さっそく、紹介された本を購入して、一気に読んだ。吉永小百合が直接執筆したものではなく、いろいろなところで話したことやインタビューに答えたものを編集したものである。
 でも、吉永小百合の生き方がわかり、映画監督山田洋次の「素敵な女優はいるけど、小百合さんは別格の存在」と、絶賛している意味がよく伝わってきた。
 吉永小百合は、台本を渡されると、役を演ずるのではなく、その人になりきるために全身全霊を打ち込んでいること、その人を理解するために生まれ故郷やゆかりの地にわざわざ足を運ぶなど、まさにプロの発想と行動と努力をしたそうである。
 いまだに、第一線で活躍していることを不思議に思っていたが、それは並々ならない本気の生き方の結果であることを知り、敬服した次第である。

 少々飛躍することを承知で敢えて言いたい。吉永小百合のごとく、教育に関わる者は、「子どもに質の高い教育を保証すること」と、「子どもが自立し、自分の希望に向かって自分らしく生き抜ける資質・能力を身につけさせること」、「自分らしく生きるとともに、地域や国や世界の事柄に関心をもち、平和と共存共栄に向けてよりよくするために参画・参加できるようにする」ことに邁進したいものである。  

一般財団法人教育調査研究所研究部長 小島 宏

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