Vol. 18:特別支援学校の授業を通して学んだこと

特別支援学校の授業を通して学んだこと


 先日、肢体不自由特別支援学校を訪問した。その際に、副校長先生の案内で授業を見学させていただいた。
 中学部では、同じ区内にある特別支援学級との交流会に向けた事前学習を行っていた。
 黒板の前で、一人の先生がパワーポイントを使って交流会の流れについて丁寧に説明していた。その先生を取り囲むようにして、椅子に座ったり、車椅子に乗ったりした生徒たちが8名授業に参加していた。
 肢体不自由だけでなく知的障害もある重複障害の生徒たちがほとんどだった。そして、生徒一人一人に教員や補助員がついていた。

 その教室でしばらく授業を見学した後、別の教室に向かう途中、私は副校長先生に「今の授業で、先生の話を何人ぐらいの生徒たちが理解していたのでしょうか?」と質問した。
 もちろん、質問した裏には、ほとんどの生徒が理解していない中で、あのような一斉授業をやってどのような意味があるのかという疑問があった。

 そのようなことを考えていた私に、副校長先生は「もちろん、全員が教員の話を理解しているわけではありません。しかし、肢体不自由の生徒たちはどうしても教員と一対一の授業になりがちです。ですから、あのように生徒たちが一堂に会し学習するだけでも意味があります。また、教員の話を理解することだけをねらいとしているわけではありません。ある生徒は、今は〇〇先生が話をしているということを認識することが学習になっています。また、ある生徒は、パワーポイントの画面が次々に変わっていくことを視覚的に確認することが学習になっています。」と話してくださった。
 確かに、生徒たちについていた教員や補助員は、メインで指導している教員の指導に沿って、担当している生徒たちにいろいろと語りかけながら授業に参加していた。生徒一人一人に応じた支援をしていたことが理解できた。

 今年1月26日に『「令和の日本型学校教育」の構築を目指して ~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)』が出された。その中に、
〇 教師が支援の必要な子供により重点的な指導を行うことなどで効果的な指導を実現することや、子供一人一人の特性や学習進度、学習到達度等に応じ、指導方法・教材や学習時間等の柔軟な提供・設定を行うことなどの「指導の個別化」が必要である。
〇 教師が子供一人一人に応じた学習活動や学習課題に取り組む機会を提供することで、子供自身が学習が最適となるよう調整する「学習の個性化」も必要である。
〇 以上の「指導の個別化」と「学習の個性化」を教師視点から整理した概念が「個に応じた指導」であり、この「個に応じた指導」を学習者視点から整理した概念が「個別最適な学び」である。
と記されている。

 今回の特別支援学校の授業見学を通して、まさに同じ空間で時間を共にすることで、お互いの感性や考え方等に触れ刺激し合うことを重視した「協働的な学び」にも十分に配慮しながら、「個別最適な学び」の実践を体感することができた。                                


(S・E)

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