Vol9:疲弊する学校教育

疲弊する学校教育

 映画「鬼滅の刃」が興行収入で「千と千尋の神隠し」を超えて、第1位となりました。様々な要因があり、家族愛、兄姉愛、正義を貫き負けない姿に感銘を受けて、多くのリピーターが映画館に押し寄せました。緊急事態宣言下においても、勢いは止まらず、何度見ても感動があり、涙する観客も少なくありません。「鬼滅の刃」の影響で経済も潤い、社会現象として老若男女が納得する映像となっています。

 では、現在の学校教育の状況はいかがでしょうか。コロナ禍においても、多くの小・中学校で指導をしてきた経験に基づいて、学校教育の危機的状況を2点にわたって述べることにします。
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新規採用教員、若手教員の資質向上が図られていない
 新規採用教員の指導は、年間を通して研修会の中止・延期、オンラインでの研修となり、顔を合わせた研修にいたらず、結局報告書を書くことに苦労するだけとなり、学校内での指導体制も限定的なものになっています。新規採用教員は、コミュニケーション力を高める場がなく、孤立した立場に追い込まれています。
 また、若手教員は、外部との関わりができず、校内だけで資質向上を求められ、意図的・計画的な研修に基づいて力量を発揮する場が少ないのが実態で、「若手が若手を育成」する絶好の機会もないまま、苛立ちが高くなっています。
 この時期だからこそ、一人一人の資質向上策を講じる学校態勢をとり、次代の担い手としての人材の育成を欠かしてはいけせません。

 この4月から、学校現場の実態の理解度があまり高くない新規採用教員が配置されます。中には、教育実習なしの教員も配置されます。大学・行政が対策をとらずに着任させることも想定されます。最後は学校現場が責任を負って人材育成をすることになるのです。はたして、意図的・計画的・継続的な人材育成のシステムが確立されているでしょうか。

管理職のマネジメント力が発揮されていない
 教育課程の編成がほぼ策定され、令和3年度に向けての準備が行われています。しかし、学校教育の危機的状況を乗り越える手立てを講じた編成になっているでしょうか。
 コロナ禍においての主体的・対話的で深い学びの構築と連続性が保たれているか、小学校高学年の教科担任制の導入に向けての学校経営ビジョンは確立されているか、授業改善をしていく教師の授業力は確保されているか、児童・生徒の学力向上策の日常化と習慣化が維持されているか、学級経営の機能が低下していることはないか等、管理職のマネジメント力が発揮されなければなりません。

 コロナ禍で学校差が拡大し、児童・生徒の学力低下が指摘されている折でもあります。教師の資質向上策、とりわけ授業力を鍛える場をいかに確保していくか、外部人材を最大限とり入れることを含め、学びの場を保障していく道筋を明確に描いていく管理職でありたいと考えます。

 まだまだ続くコロナ禍での学校教育は、人材育成とマネジメント力を発揮することでポストコロナを見据えて動かなければなりません。今こそ、これらの難局を、学校教職員を総動員して乗り越えていくリーダーシップが求められています。

【映画を教育にT.K】

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